羊水染色体検査・クアトロテスト

後頚部浮腫と診断されました。羊水検査について教えて下さい。
はじめまして。12週1日に受診した超音波画像検診にて、後頚部浮腫7〜8mmと診断されました。専門家に診てもらうため翌日、大学病院に行きましたが、先生からは「羊水検査を受けるのなら同意書に署名してください、それから値段が高いですよ」と言われただけでした。その後看護師さんに「どんな検査をしますか」と質問されましたが、何も知識はなく、その場では答えられませんでした。今、ネットでいろいろと勉強し、その知識を持って来週、再度病院に行こうと考えております。
以下の点についてご助言頂けると助かります。
 看護師さんから、FISH法、G-バンドとかありますが?どうしますか?組み合わせもできます。番号を追加することもできます、、、等々言われましたが、よくわかりません。
羊水検査の中には、
@どのような(何種類の)検査方法があるのでしょうか?(FISH法、??)
Aそれぞれ検査対象は何なのでしょうか?
B検査を行うのであれば、全てをきっちりと調べてもらいたいと夫とも考えております。そのためには、どのような検査を病院でお願いすればよいのでしょうか?
アドバイス、参考になるような情報、資料等お願いできないでしょうか?よろしくお願いいたします。

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回答 たまごママネット医師団
ご心配なお気持ちはお察しします。
実際に胎児後頸部浮腫(=nuchal translucency; NT)の厚さが7-8mmであれば、胎児が21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーなどの染色体異常をもっている確率が相当高くなります。
しかし実際には染色体が正常の場合も多く、妊娠中に診断を確定するためには羊水検査が必要になります。ただし染色体異常と診断されても治療はできませんので、それを知った上で生むか生まないかという判断になります。
染色体が正常であれば多くの場合、児の発育発達は正常ですが、先天性心奇形などの合併率がいくぶん高くなるという報告もあり、詳しいエコー検査が必要でしょう。
 エコー検査を含めた、このような出生前診断については賛否両論があります。
実際には妊娠中に胎児発育を確認するために日常的にエコー検査をおこなっていて、たまたまこのような異常が発見されることも少なからずあります。
それが胎児染色体異常や先天奇形、流産・死産など母子双方の健康に関わる問題である以上、医師が気づいているのに患者さんに黙っているということが困難、あるいは不適切に感じられる場合もあります。
たとえば妊娠末期になって胎児心拍が急に悪化したために緊急帝王切開術をおこなったものの、出生後に児の染色体異常が発見されて結局救命できなかったというケースもあります(当コーナーでの質疑応答でそのようなご質問が取り上げられたこともあります)。しかし一方でこのようなエコー所見をもとに生命の選択、障害者の排除がおこなわれているという批判もあり、われわれとしてもジレンマを感じています。
本来は検査前に検査の目的や方法、検査に伴うリスク、染色体に異常が見つかった場合、あるいは正常であった場合の児の発育発達の見通しなどについて十分な情報が提供されるべきでしょう。
 その上で羊水検査を受けるか受けないか、あなたご自身が判断しなければなりません。
検査の内容については担当医師から再度説明を聞かれた方がよいでしょう。
  胎児の染色体を調べる場合には一般的にはG-バンド染色法とFISH法の両者を併用することが多いようです。
もし説明を聞かれて納得できなかったら、別の医療機関にセカンドオピニオンをお求めになってもよいでしょう。
衣笠先生 尼崎医療生協病院産婦人科 05.12.14


羊水染色体検査・クアトロテストについてお聞きします。
この検査は希望検査(病院から頂いたパンフによれば)なのですがした方が良いのかどうか悩んでいます。
というのも、羊水を採取ノ一体どの様に?という点でも不安なのです。
これはお腹に何か刺して採取するんでしょうか?怖がり、痛がりも相成って、それだけで不安なんですノ。
しかし、15週〜19週の間に羊水を採取とありますし、現在14週なのであまり考えてはいられませんし、ダウン症は歳がいく程確率が高くなると聞き初産を30歳を超えてしまった私にとっては不安でなりません。
もうひとつの希望検査でクアトロテストというのも書いてあり、これでも十分ではないかな?とも思うのですが、羊水染色体検査の『検出率ほぼ100%』に対し『あくまで推測なので検出率は100%ではありません』とあるので推測なのにする意味があるのかノとも思っちゃいます。
先生から受けた方が良いとか悪いとかは言えないと思いますが羊水染色体検査とクアトロテストの検査方法、アドバイスなどありましたらよろしくお願い致します。

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回答 たまごママネット医師団
まず羊水染色体検査について:
羊水中には胎児の体表から剥がれ落ちた細胞が浮かんでいます。超音波ガイド下で腹壁および子宮壁に細い針を通して羊水を吸引・採取し、それらの細胞を回収して培養の上、染色体の検査を行います。エコー下で穿刺すれば胎児や母体臓器を傷つける危険は小さく、羊水検査に伴う流産の危険率は1/300程度といわれています。この検査によって胎児の染色体異常の確定診断がおこなわれます(100%とは言えませんが99%の診断精度です)。
クアトロテストについて:これは業者のホームページから引用しました。
妊婦さんの腕から少量の血液を採取し、血液中の4種類のタンパク質など(アルファフェトプロテイン、ヒト絨毛ゴナドトロピン、エストリオール、インヒビンA)を測定します。これは確定診断の検査ではなく、ある先天性疾患が起きる確率を予測するものであり、いわゆるスクリーニング検査に分類されます。この検査では、赤ちゃんが次の疾患を持った確率を調べることができます。
・ 21トリソミー(ダウン症候群)
・ 18トリソミー(エドワード症候群)
・ 開放性神経管奇形(開放性二分脊椎・無脳症)
検査時期は妊娠15週から21週まで可能ですが、クアトロテストの結果を見てから羊水検査を受ける場合を考えると、なるべく早い時期(18週まで)に受けることが望ましいとされています。
 羊水染色体検査は診断精度が高いのですが、若干の危険を伴います。一方でクアトロテストは妊婦さんから採血するだけですので特に危険はありません。
クアトロテストの意義は胎児染色体異常などの確率を調べて、確率が高い女性に対して羊水検査を勧め、確率が低い人には積極的には勧めないことで、上記先天異常の発見率を高める一方で不要な羊水検査を減らせることです。
さてあなたがこれらの検査をお受けになるかどうかですが、これは医師から勧めるものでも禁止するものでもありません。こういった出生前診断には賛否両論があります。
 妊婦の「知る権利」、「生むか生まないか選択する権利」を最大限に尊重するという見解や、障害児出生に伴う社会保障コストの削減を図るという考え方もあります。一方で欧米での上記出生前検査の普及が結果としてダウン症候群などの障害児の中絶件数増加につながっており、このような生命の選別について倫理的に問題視する意見も少なからずあります。
また「障害者出生に伴う社会保障コストの削減」という考え方はかつてのナチス・ドイツ(ヒトラーの時代)の優生思想に通じる部分もあります。
皮肉な見方をすれば社会保障費が減った代わりに妊婦さんが病院(および検査会社)に支払う金が増えて、結果として検査会社がうるおっているということになります。
従来欧米では一般的に35才を過ぎて妊娠するとダウン症候群の発生率が1/300を超えて、上記の羊水検査に伴う流産率を上回るので、積極的に羊水検査が勧められていたようです。いまでもクアトロテストで染色体異常の確率が約1/300を超えると「陽性」として羊水検査が推奨(提案)されているようです。あなたは30才を過ぎて妊娠したということですが、31,2才なら年齢上でのダウン症の出生率は1/700程度かそれ以下です。
クワトロテストの結果によってはその確率が高くなったり低くなったりするわけです。
 前回も述べましたように、ダウン症候群の子どもさんは軽度から中等度の精神発達遅滞を伴うことが多く、低身長や心臓病・消化管奇形などの先天異常を合併する場合があり、免疫能が弱く易感染性を示す方もおられます。
しかし早期からの適切な教育・トレーニングによりある程度社会的に自立されている方もおられます。一般的には性格の明るい子が多く、親御さんは可愛がって育てておられるようです。確かに手がかかるでしょうし、将来の心配もあるとは思います。しかしそれをもってダウン症の子どもを持つことが不幸なことだと決めつけることはできません。
さらに染色体が正常であることが順調な心身の発育・発達を保証するものではありません。羊水検査で発見できる先天異常は染色体異常と一部の奇形、先天性代謝異常に限られており、精神発達遅滞(知恵遅れ)の原因は出生前には診断できないもの(染色体異常以外の原因---原因不明のものも含めて)の方がずっと多いことも理解しておくべきでしょう。
私の病院では上記の出生前診断をおこなっておらず、希望される方には他院を紹介しています。しかし実際に妊娠されていて、もしもダウン症の子どもが生まれた場合にはお育てになるのはあなたご自身です。それを不幸なこと、避けられるものならばなるべく回避すべきこととお考えになるなら、上記検査をお受けになる意義はあると思います。ご夫婦でよく相談してお決めください。衣笠先生  尼崎医療生協病院産婦人科 05.8.1

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